4月1日に

 4月1日から新年度。このブログで個人的な意見をあまり書く気はなかった。でもどうしても書かずにはいられないので、感情的にならないように書きたい。
 まず今回の地震の被害についてである。東北の津波の被害は甚大である。家族も家もお金も仕事も失った人々が避難所または親戚の家などで暮らしている。どんなにか心身ともに疲れ果てていることだろう。将来の不安はもちろんのこと、今を何とか生き延びなければいけない。心からお見舞い申し上げたい。
 一方、東京および近在の人たちは、ほとんどの人が被災者ではない。液状化現象によって家が壊れた人たちを除いて、水もガスも電気も使えるはずだ。停電はあくまで計画停電で、仕事上は相当問題が出てきているようだが、個人は何とか対応可能だ。放射能の問題も、心配ではあるが、屋内退避20キロ以内の人を除いて、今の時点ではさほどの問題はないはずだ。もっと科学的な話をしよう。専門家は風評被害を防ぐためにわかりやすく何が問題で何が問題でないか明確にしよう。むしろ煽っているように見えるのはどうしてか。悪い予想をして好転すれば誰にも文句を言われないが、よい予想をして悪くなると自分の立場がないからか。
 例えばテレビのニュース。アメリカは半径80キロ以内を退避範囲としたという。だから日本の政府は何か隠しているのではないかと言い、人々の心を不安にさせる。一体何人のアメリカ人がそこにいるか数字を出してほしい。少し乱暴な言い方をすれば、どこかへ行ける人はできるだけ混乱している場所にいないほうがいいということでは。例えば先日のニュージーランド地震のとき、日本にいる家族は帰ってきなさいと言ったのではなかったか。それは帰る場所があるからだ。半径80キロに住んでいる日本人の数、そしてどこへ移動するにしても、ゆっくり寝られる場所があるのだろうか。緊急事態を除いて、できるだけ退避をする人を減らすのは当然ではないか。ヨウ素は成人のしかもお年寄りにどれだけ影響するのか。慣れない暖房もない場所で寝ることで体を壊す心配とどちらが影響が大きいのか。人間は完璧な状況で生きていけるわけではない。まして非常時には状況を考えた選択が必要である。その場にいる人が不安になるのはわかる。しかし、それを放送する人はもっと冷静になるべきだ。本当に危険かどうか確かめるべきだ。徒に不安を煽ってはいけない。もっと正確な知識を得て、現実的に伝えよう。被災地の人にその余裕がなくても、東京にいるマスコミの人にはそれができるはずだ。あなたたちは本当に困っている被災者ではない。
 そして、なぜ通常の生活を送っている関西の電気をなぜ使えないか、それをもっと考え伝えるべきだ。明治の導入段階でどの国から発電機を導入したかでヘルツの違いが出ているが、今先進国の中で一つの国の中でヘルツの違う国はない。どこかでヘルツの統一ができたはずだ。その必要性を言われながら、費用がかかるという理由で手をつけないまま今まできた。それは政治の問題ではないか。ヘルツが違えば競争にならず利権を維持できる、そう勘ぐりたくなるほどに。マスコミがこのことについて何も言わないのはどうしてか。重ね着、節電結構である。誰に言われなくても、自分で支払うお金を少なくしたければ、節電をするのは別にエコでもなんでもない。当然のことである。一人ずつ別の場所でテレビを見るのをやめる、できるだけテレビを見ない、テレビ局はそう呼びかけてはどうか。それだけでも節電になるはずだ。たぶんそんなことは言わないだろうが。つまり個人レベルでできるような瑣末なことをいちいち取り上げるより、根本的なことを解決しなければ、またいつか困ったことになる。小手先だけの解決をしても、根本的な解決にならない。
 24時間営業の店、いつでも何でもあるスーパー、都会では数分に1本電車が来る生活、遠く郊外からの通勤、これらはたくさんの電気を使うことで成り立っている。東電の総電力に占める原発の割合は約20%、火力発電も被害を受けたために電力不足に陥っている。夏はクーラー、冬場は薄着で暖かい部屋で過ごし、トイレはウォッシュレット。電車や車で簡単に移動できどの季節でも食べたい野菜が食べられる。病気になればすぐに薬が手に入る。この快適な生活で長寿を実現してきた。その生活を維持するためにエネルギーが必要だ。本当にこの生活を変えることができる?阪神大震災のときも、そして昭和天皇崩御前のときも、そのときだけ、自粛ムードが高まった。けれど、目先の問題がなくなれば、すぐ忘れてしまったのではないか。今回の大きな犠牲をまた小手先の対応ですませてしまう?
 そして、今何の影響もなさそうな関西。関西電力のほうが原発の割合は東京電力より高いと言われている(30%〜50%正確な数値が不明)。もし福井で地震が起こったらどうなる?原発反対なら、代替エネルギーは何にする?
 みんなで協力して今の状況を打開しようとすることは大切だ。しかし、そのことと根本的なエネルギーの問題の解決は別に考えるべきだ。電力不足は企業活動により深刻な影響を与える。それは個人的な節電の域を越えている。経済活動の低下は日本を本当に貧しくさせてしまう。税金を払う人がいなくなるからだ。誰かが助けてくれるのではない、自分たちでその国を維持していかなければいけないのだ。税金を払う人がいなければ、子ども手当ても年金も論外の話。日本が貧しくなってもいいと言うあなた、あなたの言う貧しさとは何ですか。どこまでの貧しさだったらOKですか?本当の貧しさを知っていますか?マリーアントワネットが「パンがないならブリオッシュを食べれば」と言ったことを笑えますか?明日食べるものもない、知り合い、親戚中を頼ってもどこにも食べるものがない、お金もない、それが本当の貧しさだ。津波で何もかも失った状況を見てください。あの生活がずっと我慢できますか。もっと現実的に考えよう。私たちはどんな国に住みたいのかを。