うりぼう、我家を住処に

 9月はうれしいことと悲しいことが一緒になってやってきて、気がついたらもう10月。ようやく暑さも一段落、朝晩は涼しく先週末から金木犀の香りがあちこちに漂うようになってきた。
 9月に入ってから、竹藪の中をイノシシが駆けずり回った跡が頻繁に見られ、どこから入ってくるのかとあちこち山側の柵を修理するのだが、一向に効果がなかった。そして、昨朝ついに庭でイノシシ発見!
 また昨夜も入ってきたなと竹藪の掃除をした後、庭に回ると、食堂の軒下の鉢植えと草むらの間から、何か黒っぽい動物が飛び出した。ちょうど子犬みたいな感じだが、子供のイノシシ、まだ縞のあるうりぼうだ。びっくりしたのか、すごいスピードで階段を駆け下りる。どのルートをたどるのか知りたくて追いかけるが、追いつかないぐらい早い。あっという間に姿が見えなくなってしまった。
 あー、この子供が入ってきていたのか、腑に落ちることがたくさんある。どうやらまだ小さいために、土掘りはそんなに得意ではなさそうだ。柔らかい所ばかり掘っていたし、コンポストはあさるが、ユリの根はまだ無事である。石を動かすような力もまだないみたい。しかし、これから大きくなると、きっとユリにも気づくに違いない。庭もめちゃめちゃになるだろう。かわいそうだが今のうちに何とかしなければ。でもどうすればいい?
 それにしても、すぐそばで朝ごはんを食べていた私たちの何と暢気なこと。そして、夜通し駈けずり回って、疲れて軒下で一休みするなんて、やっぱり子供だ。おかしくて仕方がなかった。